おうちで神道博物館 まなび

神宮皇學館の旧蔵書

神宮皇學館大學は、昭和21年「神道指令」によって廃学となりました。廃学後、神宮皇學館大學の事務は近隣の官立大学であった名古屋大学が代行することとなり、神宮皇學館大學所蔵の文献・史料類も名古屋大学へ移管されました。 

昭和227月には移管されたもののうち、伊勢神宮や伊勢御師関係資料の一部が神宮文庫へ譲渡されています。神宮文庫へ譲渡された神宮皇學館大學の旧蔵書は、本学再興後の図書館と深い関わりがあります。

昭和36年、大学開設を申請する上の必須条件として図書館の設置が求められていました。しかし、当時の大学諸施設の整備計画は予定通りとは言い難い状況でした。そこで、当時の神宮大宮司に願い出たところ、神宮当局の格別の配慮により、大学附属図書館設置までの期間に限り神宮文庫の一部を大学附属図書館として借用することが許されたのです。そうして、大学開設の認可が下りると同時に神宮文庫の一部を借用し、図書32,858冊、学術雑誌11,263冊を基本蔵書として大学図書館が発足しました。

現在の附属図書館が竣工したのは昭和48年であり、その翌年には旧神宮皇學館大學の蔵書の一部(15,650冊)が附属図書館へ譲渡され、残りの約28,000冊は、神宮文庫の蔵書として現在に至っています。

一方の名古屋大学に残った旧神宮皇學館大學所蔵の史料(14,000点以上)は「名古屋大学附属図書館神宮皇学館文庫」として現在も名古屋大学附属図書館に納められています。そのうちの多くは伊勢神宮(外宮)の御師であった来田新左衛門家の旧蔵史料であり、学術的価値の高い史料が多く含まれています。これらの史料は、もともと神宮皇學館大學の教授であった来田親明(来田家十三代当主)が昭和20年7月に同大学へ寄贈したものです。また、名古屋大学には神宮皇學館大學の人事と廃止後の残務整理についての事務文書などを含む「神宮皇學館大学関係文書」約100点も所蔵されています。

こうして、旧神宮皇學館大學の貴重な蔵書類は皇學館大学・名古屋大学・神宮文庫の三ケ所に点在することとなったのです。

 

 

 

〈参考文献〉

『伊勢と皇學館の140年』(学校法人 皇學館、令和4年)

 

   ※ 写真は「倉田山空中写真」(「精華寮記念祭絵葉書」昭和3年より。館史編纂蔵)